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社内公募制度とは|社内FAとの違いと、使った人が少ない理由、応募の前に確かめておくこと

いまの会社で、いまの部署のまま働き続けるか、転職するか。40代・50代でキャリアを考えるとき、選択肢をこの2つだけで考えてしまう人は多いと思います。

その間にある選択肢のひとつが、社内公募制度です。会社を辞めずに、自分で行き先を選んで動ける仕組みです。

私は管理職として、部下の異動を受け入れる側にも、送り出す側にもいます。その立場から見て感じるのは、社内公募は、制度があることより、使える状態になっているかどうかで価値が決まるということです。

この記事では、社内公募制度の中身と導入状況を確かめ、応募の前に確かめておくことを書きます。

社内公募制度とは、何でしょうか?

人がほしい部署が、仕事の中身と求める条件を社内に出し、手を挙げた人の中から選ぶ仕組みです。

ふつうの異動は、会社が決めて本人に伝えます。社内公募では、部署が募集を出し、社員が自分の意思で応募します。異動のきっかけが、会社の側から本人の側に移る点が大きな違いです。

会社が決める異動の内示については、人事異動の内示は断れるのかにまとめています。

机をはさんで椅子が2脚ある、誰もいない面談室

社内公募制度と社内FA制度は、何が違うのでしょうか?

声をかける向きが逆です。

制度動きの向き中身
社内公募制度部署 → 社員部署が要件を示して社内から募集し、社員が応募する
社内FA制度社員 → 部署社員が自分の経験や希望を社内に出し、部署が手を挙げる

社内公募は「求人に応募する」形、社内FAは「自分を売り込んで声がかかるのを待つ」形と考えると分かりやすいと思います。転職でいえば、求人への応募と、スカウトを待つ形の違いに近いです。

社内公募制度は、どれくらいの会社にあるのでしょうか?

3社に1社です。ただし、会社の規模でほとんど別の制度と言えるほど差があります。

日本の人事部の「人事白書2024」(6,678社)では、社内公募制を導入している会社は34.8%でした。規模別に見ると、差がはっきり出ます。

会社の規模導入している
全体34.8%
1〜100人13.6%
5,001人以上81.1%

出典:日本の人事部「人事白書2024」(2024年3月)

大企業ではほとんどの会社にある一方で、100人以下の会社では1割強にとどまります。いま勤めている会社の規模によって、この選択肢があるかどうか自体が変わります。

制度があっても、使う人が少ないのはなぜでしょうか?

使ったことがある人は、ごく一部です。

書類の束が3つ載った机と、紙が1枚の机

パーソルイノベーションの調査(2024年7月、661人)では、勤め先に社内公募の異動制度があると答えた人は32.9%でした。いっぽう、実際に利用したことがある人は6.7%にとどまっています(どちらも回答者全体に対する割合)。

制度があっても使われない理由として、異動を受け入れる側・送り出す側の両方にいる立場から考えられるのは、次の3つです。

いまの上司との関係を気にする

応募したことが上司に知られたら、関係が悪くなるのではないかという不安です。応募の段階で上司に知らせるかどうかは、会社の制度によって違います。

募集の中身が、外から分かりにくい

部署が出す募集の文章が短く、実際に何をするのかが分かりにくいことがあります。分からないまま手を挙げるのは怖いので、応募が増えません。

落ちたときのことを考えてしまう

社内なので、落ちたことも同じ会社の中に残ります。転職の不採用とは違う重さがあります。

選ぶ側は、社内公募の応募者のどこを見ているのでしょうか?

「なぜ、いまの部署ではなく、この部署なのか」です。

社内公募の応募者は、すでに社内での評価が分かっています。受け入れる側が知りたいのは、評価の高さより、その人がこの部署で何をしたいのか、いまの部署で得たものをどう持ち込むのかです。

いまの部署への不満だけが応募の理由になっていると、受け入れる側は慎重になります。これは転職の面接と同じです。

社内公募に応募する前に、何を確かめておけばよいのでしょうか?

3つあります。

線がびっしり書かれた紙と、白紙の紙
  • 応募したことが、いつ、誰に伝わるのか。 制度の規程や人事部門で確かめる
  • 落ちた場合、記録はどう扱われるのか。 次の評価や異動に影響するかどうか
  • 異動したあと、給与や等級はどうなるのか。 職種が変わる場合は、条件が変わることがある

社内公募は、転職よりも失うものが少ない選択肢です。それでも、確かめずに動くと、思わぬところで引っかかります。

職務の中身で処遇が決まる会社では、社内公募の意味が大きくなります。考え方はジョブ型雇用で40代は何が変わるのかにも書きました。

社内にない選択肢も、比べておく

勤め先に社内公募がない場合や、行きたい仕事が社内にない場合は、外の選択肢も同じように並べておくと判断しやすくなります。相談先の選び方は40代のキャリア相談はどこにする?にまとめています。

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まとめ

  • 社内公募は、部署が募集を出し、社員が自分の意思で応募する仕組み
  • 社内FAは逆向き。社員が自分を出し、部署が手を挙げる
  • 導入は34.8%。100人以下の会社では13.6%、5,001人以上では81.1%
  • 制度があると答えた人は32.9%、使ったことがある人は6.7%
  • 選ぶ側が見ているのは「なぜこの部署なのか」
  • 応募の前に、誰に伝わるか・落ちたときの扱い・異動後の条件を確かめる

社内公募は、会社を辞めずに行き先を自分で選べる、数少ない仕組みです。使うかどうかは別にしても、自分の会社にあるかどうか、どんな形なのかを知っておくだけで、キャリアの選択肢はひとつ増えます。

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