人事評価の時期になると、部下一人ひとりの評価シートを前に、項目ごとに点をつけていきます。そのとき、つける側の頭の中で静かに起きているのが、ハロー効果です。
私は管理職として、部下の評価をつける側にいます。評価をつけていて気づくのは、ハロー効果は「人を見る目がない人」に起きるのではなく、誰にでも、とくに忙しいときに起きるということです。
この記事では、ハロー効果とは何か、人事評価でどう現れるのかを確かめ、評価をつける側の防ぎ方と、評価される側にできることを書きます。
ハロー効果とは、何でしょうか?
ひとつ目立つところがあると、それ以外のところまで同じように見えてしまう傾向のことです。
「ハロー」は、聖人の絵の頭の後ろに描かれる光の輪のことです。ひとつの光が、その人全体を照らしてしまう様子から名付けられました。
名付けたのは、アメリカの心理学者エドワード・ソーンダイクです。1920年に発表した論文「A Constant Error in Psychological Ratings」で、軍の上官が部下の将校を評価した記録を調べ、体格の評価が高い人ほど、知能や統率力、人格まで高く評価されていることを示しました。本来は別々のはずの項目が、互いに強く結びついていたのです。

人事評価では、ハロー効果はどう現れるのでしょうか?
ひとつの印象が、評価シートの全部の項目に広がる形で現れます。
総務省が掲載している地方行政運営研究会の報告書(2004年)では、人事評価で気をつける点として、ハロー効果を「ある1つの評価要素について非常に優れていたり、又は逆に劣っていると、その印象から他の評価要素も同様に見えてしまう傾向」と説明しています。同じ報告書では、評価を甘くつけてしまう「寛大化傾向」や、真ん中に寄せてしまう「中心化傾向」と並べて挙げられています。
職場でよく見るのは、たとえば次のような形です。
- プレゼンがうまい部下は、企画力や調整力まで高く見える
- 数字を大きく達成した部下は、チームワークの項目まで良く見える
- 話しやすい部下は、仕事の正確さまで高く見積もられる
逆向きにも働く
ハロー効果は、良い方向だけに働くわけではありません。ひとつ大きな失敗があると、ほかの仕事まで低く見えてしまいます。期の途中で目立つミスをした部下の評価が、ほかの項目まで一段ずつ下がっていた、ということは起こりえます。

なぜ、評価をつける側はハロー効果に引っ張られるのでしょうか?
全部の項目を、全部の期間について覚えていられないからです。
半年や1年の評価期間のあいだに、部下が何をしたかを細かく覚えておくのは簡単ではありません。記録がないまま評価シートに向かうと、頭に残っている強い印象を手がかりにして、全部の項目を埋めることになります。そこでハロー効果が入り込みます。
評価をつける側の忙しさも関係します。部下が多いほど、一人にかけられる時間は短くなり、印象で埋める項目が増えます。
評価をつける側で起きていることは、人事評価に納得いかないとき、つける側では何が起きているのかでも書きました。
評価をつける側は、どう防げばよいのでしょうか?
項目ごとに、その評価期間に実際にあった事実だけで点をつけることです。

期の途中から、項目ごとに事実を書き留めておく
評価シートの項目ごとにメモを分けておき、気づいたことをその都度書いておきます。期末にそれを見ながら点をつければ、強い印象ひとつで全部を埋めることは減ります。
項目を1つずつ、全員分つけていく
一人の部下の全項目をまとめてつけると、その人の印象が全項目に広がりやすくなります。項目を1つ決めて、全員分をつけてから次の項目に進むと、項目ごとに頭を切り替えやすくなります。
その期間の外の出来事を持ち込まない
前の期の大きな成果や失敗は、今期の評価には入りません。分かっていても混ざりやすいので、点をつける前に「これは今期のことか」を確かめます。
評価の結果を部下に伝える場面については、評価面談で部下に低い評価を伝えるときにまとめています。
評価される側に、できることはあるのでしょうか?
あります。評価をつける側が使える「事実」を、自分から渡しておくことです。
評価される側からは、上司の頭の中は見えません。ただ、上司が事実を覚えていられないなら、こちらで残しておくことはできます。
- 期の途中で、やったことを短く報告しておく
- 自己評価の欄に、項目ごとに具体的な事実を書く
- 大きな失敗をしたときは、そのあとに何を変えたかまで伝えておく
最後の点は、逆向きのハロー効果を防ぐのに効きます。失敗の印象だけが残るのと、立て直した記録が一緒に残るのとでは、ほかの項目への広がり方がまったく違います。
社内の評価と外での評価がずれるときの考え方は、社内評価と市場価値がずれる理由に書きました。
PR
管理職・専門職のための会員制転職サイト【ビズリーチ】
職務経歴書を登録しておくと、ヘッドハンターや企業から直接スカウトが届く仕組みです。応募しなくても、いまの経歴に外から声がかかるかを確かめられます。年収が高めの管理職・専門職向けのサービスで、基本の利用は無料です。
PR
外資系・グローバル企業のハイクラス転職【Samurai Job】
外資系・グローバル企業のハイクラス求人に特化した転職支援サービスです。いまの年収が600万円以上で、課長・部長クラスの経験がある方に向いています。無料の会員登録から始められます。
まとめ
- ハロー効果は、ひとつ目立つところがあると、ほかの評価まで同じように見えてしまう傾向
- 名付けたのはソーンダイク(1920年)。軍の将校の評価で、体格と知能・統率力・人格の評価が強く結びついていた
- 人事評価では、寛大化傾向・中心化傾向と並ぶ「気をつける点」とされている
- 良い方向にも悪い方向にも働く。失敗ひとつで全項目が下がることもある
- つける側は、項目ごとに期間内の事実だけでつける。項目を1つずつ全員分つける
- される側は、事実を自分から渡しておく。失敗のあとに何を変えたかまで伝える
評価がいつも同じ人に寄っているなら、それは仕事の差ではなく、見ている側の癖かもしれません。つける側もつけられる側も、それを知っているだけで、評価の話はずっとしやすくなります。
いまの自分がどんな働き方の型に入っているかを確かめたい方は、8問1分の診断を用意しています。登録は不要です。