「うちも、ジョブ型に移行します」。社内の説明会でこう聞いて、自分の何が変わるのかが分からないまま帰ってきた40代は多いと思います。
検索すると、出てくるのは人事向けの制度解説と、「ジョブ型ではリストラされやすくなる」といった不安をあおる記事です。どちらも、いま管理職をしている40代が、明日から何をすればいいかには答えてくれません。
私は評価をつける側にいます。この記事では、国が出した指針の中身を確かめたうえで、ジョブ型で40代の見られ方がどこで変わるのかと、先にやっておけることを書きます。どちらの型が良いか、という話はしません。
ジョブ型雇用とは、何が違うのでしょうか?
人ではなく、仕事のほうに値段をつける考え方です。
まず、その仕事で何をするのか、どんな力が要るのかを書き出します。これを職務記述書と呼びます。給与や等級は、その仕事に対して決まります。
これまでの日本の会社の多くは、先に人を採って、あとから仕事を割り振ってきました。メンバーシップ型と呼ばれるやり方です。
| メンバーシップ型 | ジョブ型 | |
|---|---|---|
| 先に決まるもの | 人(採用・配属) | 仕事(職務の中身) |
| 給与が結びつくもの | 年次・等級・本人 | 職務 |
| 異動 | 会社が決める | 本人が手を挙げる形が増える |
国は、ジョブ型について何を出しているのでしょうか?

2024年8月に「ジョブ型人事指針」を出し、先に取り入れた20社の事例をまとめています。
内閣官房・経済産業省・厚生労働省が2024年8月28日に出した指針です。目的は、「キャリアは会社から与えられるもの」から、「一人ひとりが自らのキャリアを選択する」時代に移ることだとされています。職務ごとに求められるスキルを明らかにし、働く人が職務を選べる制度に移していく、という考え方です。
20社の事例の中には、次のような会社が出てきます。
- 社内公募の対象になるポジションを広げた会社
- 管理職のポストや上位のグレードを、公募の対象にした会社
2つ目が、40代の管理職にはいちばん関係があるところだと思います。
40代の管理職には、何が変わるのでしょうか?

肩書きより先に、「その席で何が求められているか」が文字になります。
メンバーシップ型では、課長や部長という肩書きが、その人の中身をまとめて表していました。何をしているかを細かく書かなくても、肩書きで通じていたわけです。
ジョブ型では、その席に求められることが職務記述書に書かれます。すると、見られ方が2つの点で変わります。
- 書かれていない仕事は、評価されにくくなります。根回しや調整のように、いままで管理職が抱えていた見えにくい仕事は、書き出さないと「やっていない」のと同じ扱いになりがちです
- 席は、手を挙げて取りにいくものになっていきます。管理職のポストが公募になれば、年次や順番で回ってくるのを待つだけでは届かなくなります
一方で、40代にとって有利な面もあります。書けることが多い人は、強くなります。20年近く働いてきた人のほうが、職務記述書に書ける中身は多いはずです。問題は、それを書いたことがないことです。
「ジョブ型ではリストラされやすい」は本当でしょうか?
この指針は、解雇のしやすさについて書いたものではありません。
指針が扱っているのは、職務の中身を明らかにして、働く人が選べるようにする人事の仕組みです。「ジョブ型になると解雇しやすくなる」という話は、この指針から読み取れることではありません。
ただ、人事制度が動いている時期であることは確かです。パーソルキャリアが2025年に中途採用担当者505人に聞いた調査では、1年以内に見直した人事制度の1位が「役職定年」で42.4%でした。制度の前提が変わっていく中で、何を基準に見られるのかを先に知っておくことのほうが、不安になるより役に立つと思います。
評価をつける側から見て、先にやっておけることは何でしょうか?

自分の仕事を、職務記述書の形で一度書き出してみることです。
誰かに頼まれる前に、自分で書いておきます。私が部下に勧めるときは、次の4行から始めてもらっています。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| この席の目的 | この席がなかったら、何が止まるか |
| 主な仕事 | 毎週やっていること。3〜5個 |
| 決めていること | 自分が決めて、上に報告だけしていること |
| 求められる力 | 前任から引き継いだとき、いちばん苦労したこと |
3行目の「決めていること」が、いちばん書けない人が多いところです。そして、評価をつける側がいちばん見たいのも、そこです。
書いてみて、思ったより少ないと感じたら、それは仕事が少ないのではなく、仕事が言葉になっていないだけのことが多いです。書けない部分は、社内公募に手を挙げるときにも、社外で自分を説明するときにも、同じように書けません。
書き出したものは、何に使えるのでしょうか?
評価面談と、社内公募と、社外での説明の、3つに同じものが使えます。
- 評価面談:上司が見ていなかった仕事を、材料として先に出せます
- 社内公募:管理職ポストが公募になったとき、応募の文面の土台になります
- 社外での説明:転職するかどうかに関係なく、自分の値段を測るときの材料になります
ジョブ型に移るかどうかは、会社が決めることです。ただ、自分の仕事を書ける状態にしておくことは、どちらの型でも損になりません。
書き出してみて、いまの会社でこの先も続けるのか、外も見るのか、気持ちが揺れることもあると思います。その整理には、8問・1分・登録不要の40-50代の転職タイプ診断も使えます。転職を勧めるものではなく、いまの自分の立ち位置を先に見ておくためのものです。
PR
管理職・専門職のための会員制転職サイト【ビズリーチ】
職務経歴書を登録しておくと、ヘッドハンターや企業から直接スカウトが届く仕組みです。応募しなくても、いまの経歴に外から声がかかるかを確かめられます。年収が高めの管理職・専門職向けのサービスで、基本の利用は無料です。
PR
外資系・グローバル企業のハイクラス転職【Samurai Job】
外資系・グローバル企業のハイクラス求人に特化した転職支援サービスです。いまの年収が600万円以上で、課長・部長クラスの経験がある方に向いています。無料の会員登録から始められます。
まとめ
- ジョブ型雇用は、人ではなく仕事のほうに値段をつける考え方。職務記述書で、その席に求められることを書き出す
- 国は2024年8月に「ジョブ型人事指針」を出し、20社の事例をまとめた。管理職ポストを公募にした会社もある
- 40代の管理職は、肩書きより「書かれている仕事」で見られるようになる
- 書かれていない見えにくい仕事は、書き出さないと評価されにくい
- 指針は解雇のしやすさを書いたものではない。不安より、何で見られるかを先に知るほうが役に立つ
- 先にやることは、自分の仕事を職務記述書の形で書き出すこと。評価面談・社内公募・社外での説明に同じものが使える
肩書きは、会社が渡してくれるものでした。職務記述書は、自分で書けるものです。
あわせて読みたい
出典
- 内閣官房・経済産業省・厚生労働省「ジョブ型人事指針」(2024年8月28日)
- パーソルキャリア株式会社 dodaの中途採用担当者調査(2025年・中途採用担当者505人)