評価面談の日が近づくと、気が重くなる管理職は多いと思います。とくに、期待より低い評価を伝えなければならない部下がいるときです。
検索すると、「低評価の伝え方」として、言い方の例文や、褒めてから指摘する話し方が並んでいます。言い方は大事です。ただ、評価をつける側を続けてきて思うのは、低い評価が納得されるかどうかは、面談の当日より前にほとんど決まっているということです。
この記事では、私が面談の前にやっていることと、面談の場で気をつけていることを、順番に書きます。
低い評価が納得されないのは、なぜでしょうか?
部下が、その評価の材料を面談の日に初めて見るからです。
評価そのものが正しくても、材料を初めて見せられた側には、後から集めた言い訳のように聞こえます。「なぜ、そのときに言ってくれなかったのか」。低い評価の面談で返ってくる言葉の多くは、これです。
逆に、評価期間の途中で同じ材料を一度でも共有していれば、面談の日の評価は「確認」になります。驚きがない評価は、たとえ低くても、話し合いになります。
人事評価が納得されない理由は、人事評価に納得いかないとき、つける側では何が起きているのかで詳しく書いています。
面談の前に、何をしておけばいいのでしょうか?

期の途中で一度、「このままだと、ここが足りない」を伝えておくことです。
私がやっていることは、次の3つです。
- 期の途中で一度、短く伝える。評価の材料になりそうなことが起きたら、その週のうちに話します。評価の話だとは言わず、仕事の話としてです
- 記録を残す。何があって、何を伝えたかを、日付つきで自分のメモに書きます。面談で使う材料は、ここからしか出しません
- 期待していたことを、最初に言葉にしておく。期の初めに何を期待しているかを伝えていなければ、期末に「足りない」とは言えません
3つ目ができていなかった期は、私は低い評価をつけるときに迷います。期待を伝えていなかったのは、つける側の落ち度だからです。
面談の場では、どんな順番で話せばいいのでしょうか?

結論を先に言い、材料を出し、次の期の話で終えます。
| 順番 | 話すこと | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1 | 評価の結論 | 前置きを長くしない。最初の数分で伝える |
| 2 | 材料 | 期の途中で共有したことだけを出す |
| 3 | 本人の受け止め | 反論があれば、さえぎらずに最後まで聞く |
| 4 | 次の期に期待すること | 1つか2つに絞る |
「褒めてから指摘する」順番は、使わないようにしています。褒め言葉のあとに低い評価が来ると、部下は褒め言葉のほうを「前置きだった」と受け取ります。次の面談から、褒め言葉を聞くたびに身構えるようになります。
結論を先に言うのは冷たく見えますが、言われる側にとっては、何を言われるのか分からないまま褒め言葉を聞かされる時間のほうがつらいはずです。
反論されたら、どうすればいいのでしょうか?
その場で評価を変えず、反論の中身を記録して、持ち帰ります。
反論には2種類あります。
- 材料が間違っている:事実の確認が足りなかった。持ち帰って確かめ、間違っていたら直します
- 材料は合っているが、受け止め方が違う:評価は変えませんが、何が違って見えていたのかを聞きます
その場で評価を変えてしまうと、「強く言えば変わる」という前例になります。逆に、何を言っても変わらない面談だと思われると、次から部下は何も言わなくなります。持ち帰って、確かめて、結果を必ず返す。この往復が、評価への信頼をつくると思っています。
言ってはいけないことは、ありますか?
ほかの人との比較と、人柄への評価です。
- 「〇〇さんはできているのに」:比べられた側は、評価ではなく人間関係の話として受け取ります
- 「やる気が見えない」「向いていない」:行動ではなく人柄を評価すると、本人は直しようがありません
評価できるのは、行動と結果だけです。直せる形で伝えられないことは、評価の材料にしないようにしています。
年上の部下に低い評価を伝えるときは、何が違うのでしょうか?
話す順番は同じです。違うのは、材料の出し方です。
年上の部下は、自分のやり方に理由を持っていることが多いです。そこに「足りない」とだけ伝えると、やり方そのものを否定されたと受け取られやすくなります。
私が気をつけているのは、次の2つです。
- やり方ではなく、結果のずれを材料にする。「このやり方は違う」ではなく、「期の初めに話した〇〇に、ここまで届いていない」と、期待との差だけを出します
- 教える口調にしない。次の期の話は、「こうしてください」より「どうすれば届くと思いますか」と聞く形にします。経験のある人ほど、自分で道を決めたほうが動きます
年齢が上でも下でも、評価できるのは行動と結果だけです。年上だからと遠慮して材料を薄めると、かえって本人には何が足りないのかが伝わりません。
低い評価のあと、部下とどう関わればいいのでしょうか?

次の期の最初の1か月で、一度、良い材料を見つけて伝えます。
低い評価のあとの部下は、上司が自分をどう見ているかに敏感になっています。そこで何も言われない期間が続くと、「もう見放された」と受け取りやすくなります。黙って仕事を減らしていく、静かな退職に向かうのは、このあたりからです。
小さなことでかまいません。面談で伝えた「次の期に期待すること」に関係する行動を、一つ見つけて、その週のうちに伝えます。評価は期末に一度つけるものですが、見ていることは、期の途中で伝えられます。
評価をつける側としては、低い評価を伝える面談より、その次の1か月のほうが大事だと思っています。
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まとめ
- 低い評価が納得されないのは、部下が材料を面談の日に初めて見るから
- 面談の前に、期の途中で一度伝え、記録を残し、期の初めに期待を言葉にしておく
- 面談は、結論→材料→本人の受け止め→次の期の期待、の順番で話す。褒めてから指摘する順番は使わない
- 反論されたら、その場で変えずに持ち帰り、確かめて、結果を必ず返す
- ほかの人との比較と、人柄への評価は口にしない
- 年上の部下には、やり方ではなく期待との差を材料にし、次の期は聞く形で話す
- 低い評価のあとの1か月で、良い材料を一つ見つけて伝える
低い評価を伝える面談は、言い方の上手下手より、それまでの半年で何を伝えてきたかで決まります。