40代・50代で転職が決まったあと、ふと気になるのが試用期間です。「3か月のあいだに合わないと判断されたら、本採用されずに終わるのではないか」。前の会社を辞めたあとだけに、不安は大きくなります。
私は管理職として、中途で入ってきた人を受け入れ、評価をつける側にいます。試用期間について言えるのは、法律の上では、試用期間は思われているほど不安定なものではないということ、そして採用する側が試用期間に見ているものは、仕事の出来そのものより少し手前にあるということです。
この記事では、試用期間の法律上の位置づけと実態の数字を確かめ、そのうえで採用する側が何を見ているかを書きます。
※この記事は一般的な制度の説明です。個別のケースの判断や法的な助言ではありません。
試用期間とは、どういう期間なのでしょうか?
最初から正式な労働契約が結ばれていて、会社が「解約できる余地」を残している期間です。
試用期間は「お試しの契約」と思われがちですが、そうではありません。最高裁判所は三菱樹脂事件(1973年12月12日)で、試用期間中の契約を「解約権留保付労働契約」と位置づけました。つまり、入社した時点で雇用契約は成立しています。
そのうえで最高裁は、留保された解約権を使えるのは「客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合に限られる」としています。本採用しないことは、解雇と同じように、合理的な理由と相当性が求められるということです。

試用期間は、どれくらいの会社にあって、何か月なのでしょうか?
9割近くの会社にあり、長さは3か月程度がいちばん多くなっています。
労働政策研究・研修機構(JILPT)の「従業員の採用と退職に関する実態調査」では、次のような結果でした。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| 正社員に試用期間がある会社 | 86.9% |
| 試用期間が「3か月程度」(中途採用) | 65.7% |
| 試用期間が「3か月程度」(新卒採用) | 66.1% |
出典:労働政策研究・研修機構「従業員の採用と退職に関する実態調査」(2012年調査、2014年3月公表)
調査は少し前のものですが、試用期間の位置づけや長さについて、これ以上まとまった公的な調査は見当たりません。中途でも新卒でも、3社に2社が3か月程度にしています。
中途の試用期間で、本採用されないことはあるのでしょうか?
あります。ただし、多くはありません。
同じJILPTの調査では、試用期間がある会社のうち、ここ5年で本採用しなかった例があると答えた会社は12.2%でした。裏を返すと、9割近くの会社は、5年のあいだに一度も本採用を見送っていないことになります。
入社14日を過ぎると、解雇の予告が必要になる
労働基準法では、試用期間中の人でも、14日を超えて引き続き働いている場合は、解雇するには30日前の予告か、30日分以上の予告手当が必要です(21条・20条)。試用期間中だからといって、いつでも即日で辞めさせられるわけではありません。
採用する側は、試用期間に何を見ているのでしょうか?
仕事の出来より手前にある、「この人に任せて大丈夫か」の手ごたえです。

中途採用の場合、面接で経験や能力はある程度確かめています。試用期間に見ているのは、それが新しい職場でどう出てくるかです。受け入れる側として、私が気にしているのは次のようなところです。
分からないことを、分からないと言えるか
40代・50代の中途は、経験があるぶん、分からないことを聞きにくくなりがちです。ただ、受け入れる側から見ると、最初の数週間で質問が出てこないほうが心配になります。何が分かっていないのかが見えないからです。
前の会社のやり方を、いったん脇に置けるか
前の会社のやり方には、そうしていた理由があったはずです。それを持ち込むこと自体は悪くありません。気になるのは、新しい職場のやり方を知る前に、前のやり方で判断してしまうことです。
小さな約束を守れるか
期日、連絡、報告。試用期間の評価は、大きな成果より、こうした小さな約束の積み重ねで決まることが多いです。
入社してすぐの時期の過ごし方は、40代の転職で年下の上司の下についた最初の数か月でも書きました。
試用期間の3か月で、気をつけておくとよいことは何でしょうか?
最初の1か月で、期待されていることを言葉で確かめておくことです。

- 3か月後に「できている」とみなされる状態を、上司に聞いて書き留める
- 分からないことは、溜めずに週に一度まとめて聞く
- 前の会社と違うやり方に出会ったら、まず理由を聞く
期待が言葉になっていれば、3か月後の面談で「思っていたのと違う」となることは減ります。受け入れる側にとっても、期待を言葉にして伝える機会になります。
もし試用期間中に本採用の見送りを告げられたら、理由を書面で求めることができます。そのうえで、労働局の総合労働相談コーナーなどに相談するのが確実です。
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まとめ
- 試用期間は最初から正式な労働契約。会社は解約できる余地を残しているだけ
- 本採用しないことは、解雇と同じく合理的な理由と相当性が要る(三菱樹脂事件・最高裁)
- 正社員に試用期間がある会社は86.9%、中途の長さは3か月程度が65.7%
- ここ5年で本採用しなかった例がある会社は12.2%
- 入社14日を過ぎると、試用期間中でも解雇には30日前の予告などが必要
- 採用する側が見ているのは、質問できるか、前のやり方を脇に置けるか、小さな約束を守れるか
試用期間は、会社が本人を見る期間であると同時に、本人が会社を見る期間でもあります。最初の1か月で期待を言葉にしておけば、3か月はずっと落ち着いて過ごせると思います。
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