40代や50代で転職を考えはじめると、「この年齢で転職するのはみじめなのではないか」という気持ちが、どこかに出てきます。書類が通らない話や、年収が下がった話ばかりが目に入るからだと思います。
私は管理職として、中途採用の面接をする側にいます。40代・50代の応募者と向き合っていて思うのは、みじめさは年齢から来るのではなく、準備の順番から来ることが多いということです。
この記事では、まず厚生労働省の調査で、40代・50代の転職が実際にどうなっているかを確かめます。そのうえで、面接する側から見て「みじめに見える応募」と「そう見えない応募」の違いを書きます。
40代・50代の転職は、みじめなのでしょうか?
数字で見るかぎり、40代は「みじめ」とは言えません。50代前半から、下がる人のほうが多くなります。
厚生労働省の「令和7年 雇用動向調査」では、転職して賃金がどう変わったかを年齢ごとに出しています。
| 年齢 | 賃金が増えた | 賃金が減った |
|---|---|---|
| 45〜49歳 | 41.1% | 30.1% |
| 50〜54歳 | 29.4% | 42.0% |
出典:厚生労働省「令和7年 雇用動向調査」(2026年8月31日公表)
40代後半では、賃金が上がった人のほうが10ポイント以上多くなっています。入れ替わるのは50代前半からです。「40代の転職は損をする」という印象は、少なくともこの調査の結果とは合いません。
ただし、50代前半で減った人が4割を超えているのも事実です。年齢ごとの数字は、転職で賃金が上がる人と下がる人の割合を年代別に確かめた記事にまとめています。

なぜ「みじめ」と感じてしまうのでしょうか?
比べる相手が、いまの会社の中の自分だからです。
40代・50代になると、いまの会社では役職があり、話が通じる相手がいて、仕事の進め方も分かっています。転職の場面では、その前提がいったん全部外れます。肩書きで説明できなくなり、「何ができるのか」を一から話すことになります。
みじめさの正体は、この落差だと思います。待遇が下がることよりも、いまの会社で積み上げた信用が、外では通貨として使えないと感じる瞬間のほうがこたえます。
書類が何社も通らない時期が続くと、この感覚はさらに強くなります。ただ、書類が通らない理由は、年齢そのものより、書き方にあることが多いです。断られる理由は40代で転職エージェントに断られる理由で詳しく書きました。
会社は、40代・50代の何を見て給料を決めているのでしょうか?
年齢より、経験と能力です。
厚生労働省の「令和7年 転職者実態調査」では、転職者の賃金を決めるときに会社が考慮した要素として、「経験・能力・知識」が59.2%、「年齢」が35.3%でした。また、管理職を中途で採用した理由では、「即戦力になるから」が60.7%で最も多くなっています。
いっぽうで、dodaの調査では、中高年を採用した実績のない企業に懸念を聞くと、「柔軟性が低そう」が36.6%でした。
この2つを並べると、会社が40代・50代に見ているものがはっきりします。すぐに動ける経験があるか、そして新しい職場のやり方に合わせられるかです。年齢そのものより、この2点で判断されています。

面接する側から見て、「みじめに見える応募」とはどんなものでしょうか?
いまの会社の言葉のまま話している応募です。
面接をしていると、同じ40代でも、話を聞いていて引き込まれる人と、そうでない人がいます。差が出るのは、経歴の立派さではありません。
肩書きと会社名で自分を説明している
「◯◯社で部長をしていました」から話が始まり、そこから先が続かない応募者がいます。面接する側が知りたいのは、その肩書きのもとで何を決め、何を変えたかです。肩書きは入口にしかなりません。
前の会社のやり方を基準に話している
「前の会社ではこうしていました」が何度も出てくると、面接する側は先ほどの「柔軟性」の懸念を思い出します。前の会社のやり方を話すこと自体は悪くありません。ただ、なぜそうしていたのかまで話せると、印象はまるで違います。
辞める理由が、いまの会社への不満だけになっている
不満が理由で動くのは自然なことです。ただ、面接の場で不満だけが語られると、同じ不満を次の会社でも持つのではないかと考えてしまいます。
40代の中途を面接して落とした理由では、評価をつける側として見ていることをもう少し具体的に書いています。
「みじめに見えない応募」は、何が違うのでしょうか?
自分のやってきたことを、相手の会社の言葉で話しています。
印象に残る40代・50代の応募者は、話の中に会社名や肩書きがあまり出てきません。代わりに、自分で決めたこと、手を動かしたこと、うまくいかなかったことが出てきます。
- どんな状況で、何を任されたか
- そのとき自分で決めたことは何か
- 結果がどうなり、次に何を変えたか
この3つが自分の言葉で話せる人は、年齢を聞かれても話が止まりません。面接する側も、年齢より「この人に何を任せられるか」を考えはじめます。
みじめさを減らすために、転職の前にできることはあるのでしょうか?
あります。準備の順番を変えることです。

応募の前に、経験を「決めたこと」で書き出す
職務経歴書を書く前に、これまでの仕事を「自分が決めたこと」だけで書き出してみると、肩書きに頼らない説明の材料がそろいます。紙の上半分しか埋まらなくても構いません。埋まらないところが、面接で詰まるところです。
応募する前に、外からどう見えるかを測る
いきなり応募するより、先に「声がかかるか」を測るほうが、断られたときの傷が小さく済みます。考え方は40代管理職の転職は、応募の前に「声がかかるか」で測るにまとめています。
辞めるかどうかを、先に決めない
転職活動を始めることと、会社を辞めることは別です。いまの会社に籍を置いたまま外の評価を知っておけば、結果がどうであっても、選べる状態が続きます。
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まとめ
- 45〜49歳の転職者は、賃金が上がった人(41.1%)のほうが下がった人(30.1%)より多い
- 50〜54歳では入れ替わり、下がった人が42.0%になる
- 会社が賃金を決めるときに見ているのは、年齢(35.3%)より経験・能力・知識(59.2%)
- みじめに見える応募は、いまの会社の言葉(肩書き・会社名・前のやり方)のまま話している
- みじめさを減らすのは、応募の前に経験を「決めたこと」で書き出し、外の評価を先に測ること
40代・50代の転職がみじめかどうかは、年齢では決まりません。いまの会社の外で通じる言葉に、自分の経験を置き換えられるかどうかで決まります。そこまで準備ができていれば、結果がどうであっても、みじめな転職にはなりにくいと思います。
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