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40代の転職で、年下の上司の下についた。最初の数か月でつまずいたこと

机で書類を読み込む40代の男性社員と、その背後に立って声をかけられずにいる若手の上司のイラスト

40代で転職先を決めたとき、私が想像していなかったことがあります。

配属の話を聞いて、直属の上司になる人の名前が出て、そのあとに年齢を知りました。私よりずいぶん下でした。

そのときの気持ちは、たぶん多くの人が思うほど劇的なものではありません。「あ、そうなんだ」くらいです。困ったのは、その日ではなく、そのあとの数か月でした。

この記事は、そのときに何が起きていたのかを書いたものです。年下上司との付き合い方を上から説明する記事ではありません。私はうまくやれていませんでしたし、うまくいかない理由を最初は取り違えていました。

私はいま管理職を続けていて、基本は部長職です。つまり、年上の部下を持つ側にもいました。その両方から見えたことを書きます。


求人票にも面接にも、上司の年齢は出てきません

40代の転職で「上司が年下だった」という状況は、探して出会うものではなく、入ってから分かるものです。

求人票に上司の年齢は書いてありません。面接に出てくるのが直属の上司とは限りませんし、出てきたとしても年齢を聞く場面はまずありません。役職名だけを見て、自分と同じか上だろうと勝手に思い込んでいることもあります。

そして、40代で転職する人にとって、この状況はそれほど珍しくありません。

理由は単純で、40代の求人は「その部署に足りない機能を埋める」ために出ていることが多いからです。部署そのものは既にあって、動いていて、それを回している人がいます。その人が自分より年下であることは、普通に起こります。

つまり、これは事故ではなく、40代の転職の標準的な形のひとつです。ここを「運が悪かった」と受け取るか、「そういうものだ」と受け取るかで、最初の数か月の消耗がかなり変わります。

私は前者から始めてしまいました。

入る前に、聞けることは少しだけあります

上司の年齢そのものを聞くのは、面接の場では聞きにくいと思います。ただ、聞き方を変えれば、だいたいの形は分かります。

私が今なら聞いておくのは、この三つです。

「入ったあと、私はどなたに報告する形になりますか」

これは失礼になりません。むしろ、入社後の動き方を具体的に考えている人に見えます。答えの中に役職名と、たいていは名前が出てきます。

「その方が今、いちばん手が回っていないのはどのあたりですか」

自分が埋めることになる穴が分かります。同時に、その部署が何人でどう回っているかも見えてきます。ここで「本人が全部見ている」という答えが返ってきたら、上司はプレイングマネージャーで、かなり忙しい人です。

「その部署に、私と近い経歴で入った方はいますか」

前例があるかどうかは大きいです。前例があるなら、受け入れ側にも慣れがあります。前例がなく、自分が最初の中途入社なら、立ち上がりに時間がかかることを最初から見込んでおいたほうがいいと思います。

年齢を直接聞かなくても、この三つでかなり分かります。私は当時、どれも聞きませんでした。


つまずいたのは、態度ではなく「速さ」でした

年下上司の話になると、たいてい敬語とプライドの話になります。タメ口で話していいのか、呼び方はどうするのか、前職で部長だったことをどう扱うのか。

私も入る前はそこを気にしていました。そして、そこは実際にはほとんど問題になりませんでした。敬語は普通に使いますし、それで気まずくなることもありません。

実際につまずいたのは、もっと地味なところです。判断の速さでした。

前の会社の速度で動いてしまう

私は自分の裁量で決められる範囲が広い環境から移りました。決めて、動かして、あとで報告する。そのやり方が体に入っていました。

新しい会社では、それをやると上司の手元に情報が届きません。悪気なく、決まったあとの話ばかりが上司のところに行くことになります。

上司は困ります。ただ、彼は私に対して「勝手に決めないでください」とは言いませんでした。年上の中途入社に、そこまで踏み込むのは簡単ではないからです。代わりに何が起きたかというと、私に回ってくる案件が、だんだん決めなくていいものに寄っていきました。

これは意地悪ではありません。上司の側から見れば、極めて合理的な処理です。私が同じ立場でも、たぶん同じことをします。

「前はこうでした」と言わなくても、伝わっています

私はこれでも気を遣っていたつもりで、「前の会社では」という言い方は避けていました。

それでも伝わります。資料の作り方、会議での座り方、相手の話をどこで遮るか。全部、前の環境で最適化された動きです。言葉にしなくても、周りは「この人は前の会社のやり方で動いている」と分かります。

そしてこれは、悪いことではありません。それを買われて入ったはずだからです。問題は、その動きをいつ、誰に向けて出すかでした。私は最初からフルスピードで出してしまいました。

気を遣うほど、相手も気を遣う

もうひとつ、あとから気づいたことがあります。

私が「年下の上司にやりにくい思いをさせないように」と気を遣うほど、上司の側も私に気を遣っていました。お互いに一歩下がった結果、必要な会話が減っていました。

遠慮は、丁寧さのように見えて、実際には情報を止めます。ここが、いちばん効きました。


管理職の側から見ると、年上の部下は「評価しづらい人」ではありません

デスクに並んで座り、眼鏡をかけた年上の社員が書類の一点を指さして、隣の若手の上司に説明しているイラスト

ここからは、上司の側にいたときの話をします。年下上司の下についてやりにくさを感じている人には、たぶんこちらのほうが役に立ちます。

年上の部下を持つと何が起きるか。よく言われるのは「評価しづらい」「指示しづらい」ですが、私の実感は少し違います。

いちばん困るのは、情報が上がってこないことです。

年上の部下は、たいてい優秀です。だから、自分で処理してしまいます。詰まっていることも、うまくいっていないことも、自分で何とかしてから報告しようとします。それは職業人として立派な態度なのですが、上司からすると、状況が見えません。

見えないものは、守れません。

部署の外から何か言われたとき、上司が守れるのは「知っている案件」だけです。知らない案件について、上司は何も言えません。年上の部下が自力で全部抱えると、その人がいちばん守られない状態になります。

評価をつける側にいて分かったこと

評価をつける立場になると、材料が要ります。何をやったか、どこで判断したか、どこで詰まって、どう抜けたか。

このうち、いちばん評価に効くのは「どこで判断したか」です。結果だけを持ってこられると、上司はそれを自分の言葉で上に説明できません。説明できないものは、評価表に書けません。

だから、年上の部下がやるべきことは、成果を出すことよりも先に、判断の過程を上司に渡すことでした。私は自分がその立場になったとき、これをやっていませんでした。

年下上司がやりにくいのではなく、年上の部下が上司を使えていない。私の場合はそれでした。

受け入れる側は、最初の数週間をずっと観察しています

上司の側にいたとき、自分より年上の人が入ってくる場面が何度かありました。

正直に書くと、こちらもかなり緊張しています。指示の出し方をどうするか、どこまで細かく確認していいのか、前の会社のやり方をどこまで尊重するのか。全部、初日から手探りです。

そして、最初の数週間で何を見ているかというと、能力ではありません。能力は経歴書と面接でだいたい見えています。見ているのは、この人は自分に情報をくれるかどうかです。

くれる人だと分かれば、任せる範囲を広げます。判断も渡します。逆に、報告が結果だけになる人だと、任せる範囲を狭めます。悪意ではなく、見えないものを預けるのが怖いからです。

つまり、最初の数週間で決まるのは相性ではなく、情報の流れの型でした。ここが一度固まると、あとから変えるのに時間がかかります。私は自分が入る側になったとき、この最初の数週間を「様子を見る期間」だと思って、静かに過ごしてしまいました。上司の側から見ると、それは「情報をくれない人」と同じに映ります。


最初のひと月は、決める時間ではなく聞く時間にあてる

前の項の裏返しですが、入ったあとの最初のひと月をどう使うかで、そのあとがかなり変わります。

40代で入ると、周りは即戦力を期待します。自分でもそう思っています。だから、早く成果を出したくなります。私もそうでした。

ただ、その部署には、自分が来る前から続いている経緯があります。それを知らずに正しいことを言うと、たいてい過去に一度試されて失敗したことを提案することになります。

だから、最初のひと月に聞いておくといいことがあります。

「これ、前に試したことはありますか」

自分が思いついた改善策は、たいてい前任者も思いついています。やらなかったのか、やってダメだったのか。ここを先に確認しておくと、無駄が減ります。

「この件、最終的に誰が決めますか」

会社によって、決裁の流れはまったく違います。上司が決めるのか、その上なのか、別部署の合意が要るのか。ここを知らないまま動くと、話を通したつもりで通っていないことが起きます。

「今、いちばん困っていることは何ですか」

上司に直接聞いていい質問です。年上の部下からこれを聞かれると、上司はかなり助かります。そして、その答えに自分が手をつけられるものがあれば、そこが最初の一手になります。

聞くことは、受け身ではありません。聞いた内容をもとに動けば、それは十分に速い立ち上がりです。


立場が下がったのではなく、担当が変わっただけです

もうひとつ、頭の中で整理し直したことがあります。

役職と役割は別ものだということです。

前の会社で部長だったとして、それは「その会社のその部署の、その時点での担当」です。持ち歩ける資格ではありません。転職した先で肩書きが変わるのは、降格ではなく、担当替えです。

これは言葉遊びのように聞こえるかもしれませんが、自分の中の置きどころが変わります。「下がった」と思っていると、下がっていないことを証明したくなります。証明したくなると、口数が増えます。口数が増えると、周りは身構えます。

「担当が変わった」と思えていれば、そこは静かになります。

「元部長」を降ろすタイミング

ではその肩書きをいつ降ろすのか。私の場合は、降ろすというより、使う場面を絞りました。

自分の意見を通したいときには使いません。人の相談に乗るときにだけ使います。

前に管理職をやっていた経験がいちばん役に立つのは、自分の案件ではなく、他人が詰まっている場面です。組織のどこで話が止まるか、誰に先に話を通すと早いか、そういうことは経験の蓄積が効きます。そこで出すと、感謝されます。自分の案件で出すと、押しが強い人になります。

同じ経験でも、出す場所で意味が変わりました。


噛み合い始めてから、私がやっていたこと

デスクの上に書類が二枚並べて置かれ、年上の社員がそれを示し、若手の上司が片方に手を伸ばしかけているイラスト

ここからは具体的な話です。うまくいき始めたときに何をやっていたかを、あとから振り返って言葉にしたものです。

判断を求めるときは、選択肢を2つにして持っていく

「どうしましょうか」とは聞きません。「AかBだと思っていて、私はAだと思います。理由はこれです」の形にします。

これをやると、上司は判断ができます。年下の上司にとって、年上の部下から白紙で相談されるのはかなり重い場面です。選択肢を用意して持っていくと、その重さが消えます。

そして、この形にすると自分の判断も残ります。結果として、評価の材料が上司の手元にたまります。

「前職では」を「こういうやり方もあります」に置き換える

内容は同じでも、前者は比較で、後者は提案です。

比較にすると、相手は自分のやり方を否定されたと受け取る余地が生まれます。提案なら、採るか採らないかの話になります。

私はこれを意識してから、話が通る確率が上がりました。

報告の型を、相手に合わせる

これは自分でも意外だったのですが、効きました。

上司がチャットで短くやりとりしたい人なら、こちらも短く投げます。会議でまとめて話したい人なら、そこまでためておきます。文章で読みたい人なら、要点を先に書いて渡します。

自分がやりやすい型ではなく、相手が処理しやすい型に寄せる。これは相手が年下だからではなく、上司だからやることです。ただ、年下の上司には「合わせてもらう」ことを言い出しにくいので、こちらから寄せるとかなり楽になります。

悪い情報を、いちばん先に出す

これがいちばん大きかったと思います。

うまくいっていない話を、整理する前に出します。「まだ結論は出ていないんですが、こうなりそうです」の段階で渡します。

年上の部下がこれをやると、上司の警戒が一段下がります。「この人は都合の悪いことも先に言う」と分かるからです。そこから、任される範囲が戻ってきました。

敬語は崩さない。ただし距離は縮める

敬語をやめて距離を詰めようとするのは、たいてい逆効果でした。相手が困ります。

言葉遣いは最後まで敬語のままにして、代わりに雑談の頻度を上げました。仕事の話以外を少しする。距離はそこで縮まりました。


それでも噛み合わないときに、見ておきたいこと

ここまで書いておいてなんですが、全部やっても合わないことはあります。

そのときに一度考えたいのは、これが相性の問題なのか、構造の問題なのかです。

相性の問題なら、時間で変わる可能性があります。半年やって少し楽になっているなら、たいてい方向は合っています。

構造の問題というのは、たとえばこういうものです。

  • その部署に、自分が入る前から解決していない対立がある
  • 上司自身が上から強い圧を受けていて、下に降りてきている
  • 自分の役割の定義が、上司と人事とで食い違っている

これらは、個人の努力で動かせる範囲の外にあります。自分の接し方を変え続けても消えません。

見分け方として私が使っていたのは、自分以外の人にも同じことが起きているかでした。同じことが他の人にも起きているなら、それは自分と上司の関係の話ではありません。

構造の問題だと分かったなら、そこで無理をし続ける理由はあまりありません。私自身、転職は4回しています。合わない場所で消耗し続けるより、動いたほうが早いことはあります。ただしそれは、逃げの判断ではなく、見極めた上での判断であってほしいと思います。


まとめ

長くなったので、私が実際に間違えていたことだけ、もう一度並べます。

  • 敬語やプライドの問題だと思っていたが、つまずいたのは判断の速さだった
  • 気を遣って一歩下がったことで、必要な情報が上司に届かなくなっていた
  • 年上の部下が上司を使えていない状態を、年下上司がやりにくいと解釈していた
  • 役職が下がったと思っていたが、実際には担当が変わっただけだった
  • 前の経験は、自分の案件ではなく他人が詰まっている場面で出すと効いた

年下の上司の下につくことは、40代の転職では普通に起きます。そして、そこで起きる問題の多くは、年齢ではなく情報の流れの問題でした。少なくとも私の場合はそうでした。


よくある質問

年下の上司にも敬語を使ったほうがいいですか

私は最後まで敬語のままでした。相手から「そんなに丁寧じゃなくて大丈夫です」と言われても、言葉遣いは変えずに、雑談の量を増やして距離を縮めました。言葉を崩すと相手が扱いに困ることが多いので、崩すなら相手のペースに合わせて少しずつ、という形が無難だと思います。

前職の役職は、面接で言わないほうがいいですか

言わないほうがいい、ということはありません。職務経歴書に書くのは当然ですし、隠すと経歴の説明がつかなくなります。

気をつけたほうがいいのは、面接で「マネジメントに戻りたいか」を聞かれたときの答え方です。ここで「当然戻りたい」と即答すると、いま現場を回している人との関係を懸念されることがあります。何をやりたいかを先に話して、役職の話はそのあとにするほうが、話が進みやすい印象があります。

管理職からプレイヤーに戻るのは、キャリアの後退ですか

肩書きの上では下がりますが、担当が変わったと考えるほうが実態に近いと思っています。

実際、管理職を経験した人がプレイヤーに戻ると、判断の速さと、話の通し方でかなり差が出ます。それは前の役職ではなく、前の経験が効いている部分です。役職は持ち歩けませんが、経験は持ち歩けます。

年下上司とどうしても合わないときは、我慢するしかないですか

我慢一択ではないと思います。ただ、動く前に「これは相性の問題か、構造の問題か」を一度見ておくと、次の場所で同じことを繰り返しにくくなります。

自分以外の人にも同じことが起きているなら、それは相性ではなく構造です。構造の問題だと分かったなら、環境を変える判断には十分な理由があります。


自分の場合はどうなのかを、先に見ておく

ここまで書いたことは、あくまで私の場合の話です。同じ状況でも、何がつまずきになるかは人によって違います。

自分が転職市場でどう見られているのか、どの部分が評価されて、どの部分が説明不足になっているのか。それが分かっていると、入ったあとの立ち位置も取りやすくなります。

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