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40代の中途を面接して、落とした理由|見ていたのは、経歴書に書ける部分ではありませんでした

「40代の中途は使えない」という言葉を、見かけたことはありませんか。

私は現役の管理職で、部長職にいます。中途採用の面接をする立場にいて、40代の方を通したことも、落としたことも あります。

落としたとき、私はスキルを理由にしていませんでした。見ていたのは別のところです。この記事では、面接する側が実際に何を見ているのかと、その判断の多くが後から外れていたことを書きます。

「面接で落ちる人の特徴」を並べる記事ではありません。落とした側の心配が、どれくらい当たっていなかったのかという数字から始めます。

40代の中途採用は、いま減っているのか?

逆です。増えています。

パーソルキャリアが2025年12月に発表した調査(全国の中途採用担当者1,329名/うち2024年度にミドルシニア採用の実績がある505名)で、2025年度の採用が「増える見込み」と答えた企業の割合が出ています。

年代 採用が増える見込みと答えた企業
40代後半 46.7%
50代前半 40.4%
50代後半 42.1%
60歳以上 40.4%

40代後半で、4割を超える企業が「増やす」と答えています。

理由の上位はこうでした。

  • 即戦力となる人材が欲しい(38.0%)
  • 人員不足の解消(36.8%)
  • 若手人材の確保が難しい(36.6%)

つまり、入り口そのものは狭くなっていません。狭く感じるとしたら、狭いのは入り口ではなく、別のところです。

面接する側は、40代の何を心配しているのか?

スキルより先に、「変わってくれるかどうか」を心配しています。

同じ調査で、ミドルシニアの採用に対して何らかの懸念があると答えた企業の割合が出ています。

懸念があると答えた割合
ミドルシニアの採用実績がある企業(n=505) 66.7%
採用実績がない企業(n=325) 82.5%

採用実績のない企業(n=268)が挙げた懸念の上位が、これです。

1位 柔軟性の低さ(36.6%)
2位 給与水準が合わないこと(29.9%)
3位 業務内容の習得(28.4%)/スキル不足(28.4%)

1位がスキルではなく柔軟性であることが、この話のすべてだと思っています。

そしてもうひとつ。採用したことがない企業のほうが、懸念が15.8ポイント高い。これは能力の問題ではなく、知らないから怖いという構造です。

私自身、この懸念を持って面接に臨んでいました。

その心配は、採用したあとどうなったのか?

採用前に懸念した量と、採用後に実際に課題になった量の対比

ほとんど外れていました。

ここが、この調査でいちばん重い部分です。実際に採用した企業に、採用後どうだったかを聞いた結果がこれです。

項目 採用前に懸念した 採用後「課題に感じなかった」 差
業務内容の習得 48.1% 89.6% 41.5pt
スキル不足 43.0% 85.8% 42.8pt
新しい技術へのキャッチアップ 24.6% 82.8% 58.2pt

面接前に半分近くが心配していたことが、採用後は8〜9割の企業で問題になっていません。

活躍の状況についても、「活躍できている」が49.5%、「まったく活躍できていない」は3.8%でした。

つまり、面接する側が持っている懸念は、その多くが実態と噛み合っていません。私が持っていた心配も、この数字の中に含まれていたのだと思います。

では、落とした理由は何だったのか?

机に高く積まれた紙が向こう側を隠している

私が見ていたのは、その人が「前の会社の話」をどこまで手放せるかでした。

これは能力の評価ではありません。もっと手前の話です。

面接で経歴を聞くと、前の会社でやってきたことが出てきます。それ自体は当然で、聞いているのはこちらです。問題はその次でした。

通した方に共通していたのは、前の会社の話を材料として出していたことです。「そこではこうでした。ここでは違うと思うので、そこを聞かせてください」という形になっていました。

落としたとき、前の会社の話が基準として出てきていました。「普通はこうなんですけどね」「前職ではこうしていました」で止まる。こちらのやり方を説明すると、その説明を聞く前に「それは非効率ですね」という反応が返ってくる。

能力が低いとは、まったく思いませんでした。 むしろ経歴書は立派な方が多くいました。ただ、入ってから最初の数か月で、こちらの何を覚え直してもらう必要があるかを考えたときに、そこが見えなくなりました。

調査で1位に挙がっていた「柔軟性の低さ」への懸念は、こういう形で現れます。

「使えない」と言われる人は、本当に能力が低いのか?

能力ではなく、前提の置き方がずれているだけのことが多いと感じています。

40代で転職してきた方は、それまでに自分のやり方を作り上げています。それは強みです。作り上げていなければ、そもそも即戦力として採る理由がありません。

ただ、そのやり方は前の会社の条件の上で最適化されたものです。使えるツールも、決裁の順番も、誰が何を持っているかも違う。同じやり方をそのまま持ち込むと、動かないことがあります。

このとき、二通りの受け取られ方をします。

  • 「ここの条件はこうなんですね」と条件を聞きに行く → 早く馴染む
  • 「なぜこんな非効率なやり方を」と条件を評価する → 馴染むのに時間がかかる

後者になった人が、しばらく経ってから「使えない」と言われます。能力の話ではなく、条件を確かめる順番の話です。

そして、この違いは面接の30分でも、はっきり出ます。

面接で落ちた側からは、何が見えないのか?

落とした理由は、まず伝わりません。

これは採用する側の都合です。理由を具体的に伝えることには、トラブルのリスクがあります。だから返ってくるのは「今回はご期待に沿えない結果となりました」という定型文で、そこに情報は入っていません。

結果として、落とされた側には推測しか残りません。そして推測は、いちばん分かりやすいところに向かいます。年齢、経歴、スキル。

でも、私が見ていたのはそこではありませんでした。経歴書に書ける部分で落としたことは、記憶している限りほとんどありません。 書類で通した時点で、経歴は足りているからです。

面接まで進んだなら、スキルの判定はもう終わっています。 そこから先で見られているのは、別のものです。

落とされないために、何を変えられるのか?

壁に貼られた掲示を見上げる後ろ姿

やり方ではなく、やり方の「出し方」です。

自分のやり方を捨てる必要はありません。捨てたら採る理由がなくなります。変えられるのは順番のほうです。

面接で何を話すかより、何を聞くかに現れます。

  • 「この役割で、最初の3か月に期待されているのは何ですか」
  • 「いまいちばん詰まっているのはどこですか」
  • 「前職ではこうしていましたが、ここでは何が違いますか」

こういう質問が出てくると、こちらは「この人は条件を確かめてから動く人だ」と受け取ります。逆に質問がまったく出てこないと、前提を確かめずに始める人に見えます。

これは面接技術の話ではありません。入ってから実際に起きることの、前倒しの確認です。

自分がどちら側になっているか、どうやって確かめるのか?

社内にいると、自分のやり方がどこまで会社の条件に依存しているかは見えません。動いてしまっているからです。

確かめ方のひとつは、自分の仕事の進め方を、社外の人に説明してみることです。説明の途中で「ここはうちの決まりで」「このツールがあるので」が何度も挟まるなら、その部分は持ち出せません。

もうひとつは、いまの自分がどのあたりにいるかを、外側の尺度で見ておくことです。40-50代の転職タイプ診断を用意しています。8問・1分・登録不要です。転職を勧めるものではありません。いま何が残っていて、何が会社側のものなのかを分けるためのものです。

結果が何であっても、すぐ動く必要はありません。知ったうえで動かない、という選び方も残っています。

まとめ:40代の中途採用で、実際に起きていること

  • 40代後半の採用は増える見込み。採用実績のある企業の46.7%が「増える」と回答
  • 面接する側の懸念の1位はスキルではなく「柔軟性の低さ」(36.6%)
  • 採用したことがない企業ほど懸念が強い(82.5% 対 66.7%)
  • 採用前の懸念は8〜9割の企業で課題にならなかった。差は41.5〜58.2ポイント
  • 面接まで進んだ時点で、スキルの判定は終わっている
  • 落とす側が見ているのは、前の会社の話を基準として出すか、材料として出すか
  • 変えられるのはやり方ではなく、条件を確かめる順番

「40代は使えない」という言葉は、採る側の懸念が言葉になったものです。そして調査を見る限り、その懸念の多くは採用後に外れています。

外れると分かっていても、面接の場ではその懸念が働きます。だから見られているのは、懸念を外しにいく姿勢のほうです。

この記事を書いた人

会社員はまち

現役の管理職(部長職)。デジタルマーケティング・EC領域。部下の人事評価をつけ、中途採用の面接をする立場にいます。転職は4回。転職がうまくいき始めたのは30代後半からでした。

40代・50代の会社員に向けて、制度と働き方について書いています。

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出典

  • パーソルキャリア株式会社「企業のミドルシニア層の採用に関する調査レポート(採用実態・人事制度編)」(2025年12月2日発表/調査期間 2025年8月22日〜9月1日/全国の中途採用担当者 n=1,329、うち2024年度にミドルシニア採用実績あり n=505)
  • パーソルキャリア株式会社「企業のミドルシニア層の採用に関する調査レポート(バイアス編)」(2025年10月16日発表/同調査/採用実績あり n=505、採用実績なし n=325)

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