転職エージェントに登録したのに、求人を紹介してもらえない。面談のあと連絡が途切れた。もっとはっきり「ご紹介できる求人がありません」と言われた。
この状態を、自分の経歴が否定されたと受け取る方が多いです。
ただ、私が中途採用の面接をする側に回ってから見えたのは、エージェントが断る理由と、企業が落とす理由は別物だということでした。そして、直せるのは後者のほうです。
この記事では、エージェントが断るときに実際に起きていることと、企業が40代の何を見て落としているのかを、面接する側の立場から書きます。
なぜ40代は転職エージェントに断られるのか?

経歴が評価されなかったからではなく、いま出せる企業が見つからなかったからです。
転職エージェントの多くは成功報酬です。紹介した人が入社して、はじめて企業から報酬が入ります。面談や書類の添削をどれだけ丁寧にやっても、入社まで進まなければ収入にはなりません。
この構造があるので、担当者は「この人を、いま手元にあるどの求人に出せるか」を最初に考えます。出せる先が思い当たらなければ、時間をかけられません。
つまり「断られた」は、「市場価値がゼロ」ではなく「この会社が抱えている求人の中に、通る先が無かった」という意味です。担当者が持っている求人は会社ごとに違いますし、業界にも偏りがあります。
ここを取り違えると、直す場所を間違えます。
断られ方には、意味の違うものが混ざっています
| 断られ方 | 実際に起きていること |
|---|---|
| 登録の時点で面談に進めない | 書類の情報だけで、既存求人と接点が無いと判断された |
| 面談はしたが、その後の紹介が無い | 出せる先が思い当たらなかった |
| 特定の求人に応募して落ちた | 企業側の判断。エージェントの判断ではない |
| 連絡が来なくなった | 優先度が下がった。担当が抱える人数の問題のことも |
このうち、内容を直して結果が変わるのは3番目です。1番目と2番目は相手が持っている求人の問題なので、別のエージェントに行けば結果が変わることがあります。
では、企業は40代の何を見て落としているのか?
経歴の中身ではなく、入社して3か月のあいだに何をするのかが想像できるかどうかです。
ここからが、面接する側に回って分かったことです。
40代の中途採用は、若手の採用とは前提が違います。若手は「これから覚えてもらう」で通りますが、40代には教育の期間を置きません。だから面接で見ているのは能力の高さそのものではなく、入った直後に手が動く場所が具体的に見えるかです。
経歴が立派でも、ここが見えないと通りません。逆に、派手な実績が無くても、ここが見える人は通ります。
自分がどの方向で通りやすいかを先に測っておきたいときは、40代・50代のための転職タイプ診断(8問・約1分・登録不要)も使えます。
落ちる方に共通していた3つ
① 実績が「関わった」で止まっている
「基幹システムの刷新プロジェクトに関わりました」と言われても、何をした人なのかが分かりません。要件を決めた人なのか、進捗を管理した人なのか、現場で手を動かした人なのかで、来てもらったあとの使い方がまったく変わります。
聞き返せば分かることではあります。ただ面接の時間は限られていて、聞き返す前に次の話題へ移ってしまうことがあります。
② 前の会社のやり方を、持ち込む前提で話す
「前職ではこうしていました」が続くと、受け入れる側は身構えます。やり方そのものが悪いのではなく、こちらの事情を聞く前に結論が決まっているように聞こえるからです。
40代の中途でいちばん警戒されるのは、能力不足ではなくこれです。既存のメンバーとの摩擦が想像できてしまうと、そこで止まります。
③ 役職の話はするが、決めた話をしない
「部門をマネジメントしていました」「10名のチームを見ていました」は、役割の説明です。役割は、その会社の中でしか意味を持ちません。
知りたいのは、何を選んで、何を捨てたかのほうです。ここが出てこないと、環境が変わったときに同じ判断ができる人なのかが分かりません。
管理職を長くやっている方ほど、ここが薄くなります。日々やっているのは判断なのに、記録に残っているのは役割と結果だけだからです。
落とす側から見た判断の中身は、40代の中途を面接して、落とした理由のほうに書きました。
職務経歴書のどこで差がつくのか?

役割が書いてある行は飛ばされ、判断が書いてある行だけが読まれます。
書類選考で目が止まる行と、流し読みされる行があります。分かれ目ははっきりしています。
流し読みされるのは、この形の行です。
- 「◯◯部門の運営を担当」
- 「マネジメント経験あり」
- 「売上向上に貢献」
共通しているのは、主語が自分ではないことです。部署がやったことか、会社が達成したことになっています。
目が止まるのは、この形です。
担当者が抜けるたびに同じ問い合わせが発生していたため、例外対応を手順書とは別に残す形に変え、次の交代時には問い合わせが出なくなった
言っていることは同じ仕事です。違うのは、自分が何をどう決めたかが真ん中にあることです。
読まれる一行に入っている3つ
- 何が起きていたか(before)
- 自分が何をどう決めたか
- そのあと何が変わったか(after。数字でなくてもかまいません)
このうち、あとから思い出せないのは2番目です。1と3は困りごとと現状なので覚えていますが、そのとき何を基準に決めたかは、決めた瞬間にしか手元にありません。
書けないのは経験が足りないからではなく、決めた記録がどこにも残っていないからです。議事録に残るのは決まったことのほうで、誰がどういう理由でそう決めたかは残りません。
エージェントに断られたあと、最初に直すのはどこか?
エージェントを変えるより先に、職務経歴書の一行を書き換えるほうが早いです。
理由は単純で、エージェントを変えても、渡す書類が同じなら、同じ判断をされる可能性が高いからです。
担当者は書類を見て「出せる先があるか」を考えます。そのときに見ているのは、上に書いた判断が入っている行です。ここが「部門の運営を担当」だけだと、どの求人に当てればいいかが決まりません。
手をつける順番は、この3つです。
- いちばん長くいた部署の経験を、before / 判断 / after の3点セットで書き直す(まずは1つで十分です)
- 役割だけの行を減らす(消さずに、判断の行を上に足す形でかまいません)
- その一行で通る求人が何かを、自分で言えるようにする
3番目まで来ると、エージェントとの面談の中身が変わります。「何かありませんか」ではなく「この経験が効く場所はありますか」と聞けるようになるからです。担当者の側も、出せる先を探しやすくなります。
それでもエージェントを変えたほうがいいのは、どんなときか?
違う会社で、同じ理由を言われて続けて断られたときです。
一社だけで判断するのは早いです。持っている求人の偏りかもしれません。
ただ、二社、三社と続けて同じことを言われるなら、それは求人の偏りではなく、書類か経歴の見え方の問題です。そのときは中身を直す側に戻ります。
逆に、断られる理由が会社ごとに違うなら、求人の偏りです。そのときは登録先を広げるほうが早く進みます。
総合型と特化型を分けて使う
- 総合型は求人の数が多く、幅広く当てられます。ただし担当者が抱える人数も多いので、優先度が下がると連絡が減ります
- 特化型は業界や職種を絞っているぶん、担当者が現場の事情を知っています。40代で職種がはっきりしている方は、こちらのほうが話が早いことがあります
どちらか一方ではなく、総合型で母数を確保しつつ、自分の職種に近い特化型をひとつ足す形が、40代では扱いやすいです。
40代がいちばん不利になる瞬間はどこか?

条件を全部開けて「何でもやります」と言った瞬間です。
謙虚さのつもりで言う方が多いのですが、受け取る側には逆に届きます。
何でもできる人は、どこに置けばいいかが決まらない人でもあります。採用する側は、空いている席に人を入れます。席が決まらない人は、検討のテーブルに乗りません。
それに、条件を全部開けると提示される条件は下がりやすくなります。交渉の基準が無くなるからです。
譲れない条件をひとつだけ決めておくと、この両方が解決します。勤務地でも、職種でも、働き方でもかまいません。ひとつ決まっていれば、そこを軸に話が進みます。
条件を絞ると求人が減るのを心配される方がいますが、40代で問題になるのは求人の数ではなく、検討のテーブルに乗るかどうかのほうです。
断られること自体は、珍しいことなのか?
珍しくありません。40代の中途採用は、そもそも枠のつくられ方が違うからです。
若手の採用は「何人採る」から始まりますが、40代の採用は「この席に、この役割の人がひとり要る」から始まります。枠が先にあるのではなく、必要が先にあって、その形に合う人を探します。
だから、経歴が良くても形が合わなければ通りませんし、逆に形が合えば、経歴が派手でなくても通ります。エージェントが断るのも、この形合わせが成立しないと判断したからです。
これは能力の評価とは別の話です。ここを切り分けておかないと、断られるたびに自分の価値が下がっていくように感じてしまいます。実際に下がっているのは、手元の書類が伝えている情報量のほうであることが多いです。
断られたあと、どこに相談すればいいのか?
相談先の種類を変えることです。総合型のエージェントで紹介できる求人がなかったとしても、扱う求人や支援の形が違う相談先なら、話が変わることがあります。
| 相談先 | 合う人 | 確かめたこと |
|---|---|---|
| 職種に特化したエージェント(管理部門・士業のMS-Japanなど) | 経理・人事・総務・法務などの実務経験がある人 | 20代から50代以上までを対象に挙げていて、年齢で入口を閉じていない |
| 40〜50代向けの有料転職スクール(ライフシフトラボ転職コースなど) | 自己流で書類が何度か通らなかった人 | 45歳からが対象。無料の個別相談会があり、料金はそこで案内される。契約書を受け取ってから8日以内なら全額返金で解除できる |
| 公的なキャリアコンサルティング(キャリア形成・リスキリング支援センター) | 転職するかどうか、まだ決めていない人 | 無料・60分・対面かオンライン。職業紹介はしない |
ここに挙げたのは、40代が対象に含まれていることを、申し込みの条件まで読んで確かめたものだけです。対象年齢が30代前半までに絞られているサービスも少なくないので、登録する前に、公式サイトの対象者の欄を一度見ておくと、二度目の「断られる」を避けられます。
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管理部門・士業に特化した転職エージェント【MS-Japan】
経理・財務・人事・総務・法務・経営企画といった管理部門と、弁護士・公認会計士・税理士の転職を扱うエージェントです。エージェントに断られた理由が「紹介できる求人がなかった」ことなら、いまの職種の経験がよそでどう扱われるかを見ておくのも一つの手です。20代から50代以上までを対象に挙げていて、年齢で入口を閉じてはいません。登録は無料です。
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45歳からのマンツーマン転職塾【ライフシフトラボ転職コース】
40代・50代の転職に絞った、有料の転職スクールです。最初に無料の個別相談会があり、全国どこからでもオンラインで参加できます。料金はその相談会で案内される形なので、聞いたうえで持ち帰って決めて大丈夫です。契約書を受け取ってから8日以内なら、理由を問わず全額返金で解除できる決まりがあります。
まとめ
- エージェントに断られるのは評価が低いからではなく、その会社の求人の中に出せる先が無かったから
- 企業が40代を落とすときに見ているのは経歴の中身ではなく、入って3か月で何をするのかが想像できるか
- 職務経歴書で読まれるのは役割ではなく、自分が何をどう決めたかが書いてある行
- 断られたあとに最初に直すのはエージェントではなく書類の一行
- 会社ごとに違う理由で断られるなら登録先を広げ、同じ理由で続くなら中身に戻る
- 条件を全部開けると席が決まらず、条件も下がる。譲れないものをひとつだけ決めておく
書類の一行を直すのは、その日のうちにできます。エージェントを変えるのは、そのあとでも間に合います。
よくある質問
Q. 何社くらい登録するのが適当ですか?
A. 数より組み合わせです。総合型をひとつと、自分の職種に近い特化型をひとつ。まずこの2つで、断られ方が会社ごとに違うかどうかを見ます。違うなら求人の偏りなので広げる、同じなら書類に戻る、という判断ができます。
Q. 断られた理由は聞いてもいいですか?
A. 聞いて構いません。ただ、返ってくるのはたいてい「現在ご紹介できる求人がない」です。角が立たない言い方なので、これ以上は出てきません。知りたいのが「どこを直せばいいか」なら、理由を聞くより、書類を持って別の担当者と話すほうが早いです。
Q. 年齢を理由に断られることはありますか?
A. 募集や採用で年齢を制限することは、労働施策総合推進法で原則として禁止されています。ただ実際の枠には「この席に必要な経験」があり、そこに年齢が間接的に効くことはあります。表に出てくるのは年齢ではなく、求人が無いという言い方になります。
Q. 書き直した書類を、断られた同じエージェントに出し直せますか?
A. 出せます。担当者は書類を見て出せる先を考えるので、中身が変われば判断も変わります。時間を空けて、変えた点を一言添えて送るのが自然です。
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40代・50代の方向けに、転職タイプの診断を用意しました。8問・約1分で終わります。登録は要りません。結果では、通りやすい方向と、職務経歴書で前に出したほうがいい経験が出ます。直す場所を決めてから書き始めるほうが、手戻りが少なくて済みます。
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