求人を見ていると、応募したい会社ほど「正社員経験3年以上」と書いてあります。どこかで一度、正社員として働いていないと入れない。その入口が、いちばん通りにくく見えます。
この記事は根性論を書きません。まず数字で、いまどういう状況なのかを確かめます。そのうえで、書類を受け取る側から見て、どこで落ちているのかを書きます。
「正社員の仕事がないから」非正規でいる人は、161万人です
非正規で働く2,146万人のうち、正社員になれずにそうしている人は7.7%です。
総務省「労働力調査(詳細集計)」2026年4〜6月期平均(2026年8月10日公表)の数字です。非正規の職員・従業員が、その働き方についた主な理由です。
| 非正規についた理由 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 自分の都合のよい時間に働きたいから | 810万人 | 38.6% |
| 家計の補助・学費等を得たいから | 341万人 | 16.3% |
| 家事・育児・介護等と両立しやすいから | 229万人 | 10.9% |
| 正規の職員・従業員の仕事がないから | 161万人 | 7.7% |
いちばん多いのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」で、4割近くを占めます。非正規で働く人の大半は、自分でその働き方を選んでいます。
つまり「フリーター=正社員になれなかった人」という見方は、全体の数字とは合っていません。合っていないのに、そう見られる。ここが、この問題のややこしいところです。
この数字が言っていないこと:この2,146万人には、学生のアルバイト・配偶者のいるパート・定年後の再雇用がすべて含まれています。年齢別の内訳ではありません。「20代・30代のフリーターのうち何%か」を、この数字から言うことはできません。
その161万人は、1年で15万人減っています
前年の同じ時期と比べて、15万人減りました。
| 人数 | 非正規に占める割合 | |
|---|---|---|
| 男性 | 77万人 | 11.5% |
| 女性 | 84万人 | 5.9% |
| 合計 | 161万人 | 7.7% |
人数は女性のほうが多いのですが、割合で見ると男性が11.5%、女性が5.9%で、男性のほうが約2倍です。男性の非正規は「選んでいない」比率が高い、ということになります。
この数字が言っていないこと:減った15万人が全員正社員になったとは書かれていません。仕事を辞めた人、学校に戻った人、統計上の区分が変わった人も含まれます。ただし、この層が縮んでいる方向にあるのは確かです。
書類で見られているのは、空白の長さではありません
見ているのは、空いている期間そのものではなく、その期間を自分の言葉で説明できるかどうかです。
私はデジタルマーケティングとECの領域で働いていて、いまは評価をつける側にいます。中途の書類も見ますし、アルバイトから正社員になった人と一緒に働いたこともあります。
空白や非正規の期間があること自体で、書類を外すことはしません。外れるのは、そこに何も書かれていないときです。空欄のまま出されると、読む側は想像で埋めるしかなくなります。想像は、だいたい悪いほうに転びます。
逆に、1行でも「この期間は何をしていたか」が書いてあると、それ以上は詮索されません。理由の良し悪しではなく、説明があるかどうかで扱いが変わります。
アルバイトの経験は、職歴として書いていい
書き方を変えるだけで、同じ経験の見え方が変わります。
やりがちなのは、担当していた作業を並べることです。レジ、品出し、清掃。これだと、どの店でも同じ書類になります。
読む側が探しているのは、「何を任されるようになったか」です。同じ1年でも、途中から任された範囲が広がっていれば、それは「続けられて、信用された」という記録になります。
- 新人の教育や、シフトの作成を任されていたか
- 発注や在庫の管理に関わっていたか
- クレームの対応を任されていたか
- 店舗の規模(席数・スタッフ数・1日の客数など)がひとつでも書けるか
とくに最後の数字が効きます。規模が1つ入るだけで、読む側は状況を想像できます。「スタッフ15人の店で、新人の指導を担当していた」まで書いてあれば、それは立派な職歴です。
未経験可の求人で採用する側が気にしているのは、スキルではありません。入ってから続くかどうかです。だから同じ場所で長く続いた経験は、業種が違っても強みになります。
「正社員経験3年以上」と書いてある求人について
この条件は、応募してはいけないという意味ではないことがあります。
求人票の条件には、絶対に外せないものと、「こういう人が来てほしい」という希望が混ざっています。前者は資格や免許で、後者が経験年数です。
実際、採用の現場では「条件は満たしていないが会ってみたい」という判断は起きます。ただし、それが起きるのは書類に他の材料があるときだけです。条件を満たしていないうえに材料もなければ、そこで止まります。
だから、年数の条件を見て最初から外すよりも、その1社に出す書類の中身を厚くするほうが、確率は上がります。
書類を一人で作るのが難しいときは
ここまでに書いた「任された範囲を書く」は、一人でもできます。ただ、書いたものが外からどう見えるかは、自分では分かりません。
20代であれば、若手・未経験に特化したエージェントが使えます。求人を紹介してもらうことより、書類を他人の目で見てもらえることのほうが、この段階では効きます。
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もちろん、使わずに進めても構いません。ここで言いたいのは、書類は一人で完成させなくていいということです。
よくある質問
アルバイト経験しかなくても、職務経歴書は書けますか?
書けます。雇用形態ではなく、任された範囲を書く欄だと考えてください。期間・店舗や職場の規模・担当していた仕事・途中から任されるようになったこと。この4つが入っていれば、形としては成立します。
空白期間は、正直に書いたほうがいいですか?
書いたほうが通ります。読む側は空欄を想像で埋めるので、書かないほうが不利になります。理由の内容で落ちることは、思われているほど多くありません。
「正社員経験3年以上」の求人に応募しても意味がないですか?
意味がないとは限りません。ただし条件を外れているぶん、書類の他の部分で材料が要ります。数を出すより、出す1社の中身を厚くするほうが確率は上がります。
年齢が上がると、もう難しいですか?
この記事で使った統計には年齢別の内訳がありませんので、ここは数字で言えません。言えるのは、「正社員の仕事がないから」非正規でいる人が、1年で15万人減っているということだけです。
あわせて読む
職務経歴書に何を書けばいいか分からないときは、「職務経歴書に書くことがない」と感じたときに、何を書けばいいのかが使えます。40代向けに書いたものですが、「任された範囲を書く」という考え方は年齢に関係なく同じです。
参考にした一次資料
総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2026年(令和8年)4〜6月期平均」(2026年8月10日公表)「正規、非正規の職員・従業員」「非正規の職員・従業員についた主な理由」