本サイトの記事内に広告が含まれる場合があります。 40代・50代の転職

転職で賃金が上がる人と下がる人の割合は、40代と50代で逆転します【厚労省データ】

2026年9月10日

スーツ姿の40代の男性社員が一人で立ち止まり、足元の床に引かれた線が二方向に分かれているのを見下ろしているイラスト

40代で転職を考えるとき、いちばん気になるのは「賃金が下がるのではないか」ということだと思います。

私自身、転職を4回していますが、動く前に必ずこれを考えました。周りの人に相談しても、返ってくる答えは人によってばらばらです。「40代の転職は下がるのが普通」と言う人もいれば、「いまは人手が足りないから上がる」と言う人もいます。

どちらも、その人の周りで起きたことを言っているだけです。

そこで、厚生労働省が毎年出している「雇用動向調査」を、年齢階級別に読んでみました。国が全国の事業所に対して行っている調査なので、少なくとも誰かの体感よりは広い範囲を映しています。

読んでみると、はっきりした形が出てきました。40代のうちは賃金が上がる人のほうが多く、それが55歳で逆転します。

この記事では、その数字を並べたうえで、管理職として中途採用に関わってきた側から見えていたことを書きます。


40代で転職した人の、賃金はどう変わったか

まず結論から出します。令和6年(2024年)の1年間に転職した人が、前の職場と比べて賃金がどうなったかの割合です。

年齢増加した減少した変わらない
40〜44歳45.9%29.0%23.7%
45〜49歳46.4%23.8%26.9%
50〜54歳39.0%28.2%31.7%
55〜59歳27.4%36.6%33.6%
60〜64歳13.6%60.9%24.2%

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」

45〜49歳の行を見てください。増えた人が46.4%、減った人が23.8%です。増えた人が、減った人のほぼ2倍います。

40代の転職は賃金が下がる、というのが通説のように言われますが、少なくともこの1年のデータではそうなっていません。

「1割以上」変わった人だけを見ても、同じ形です

わずかな増減まで含めると印象がぼやけるので、変化の大きかった人だけを取り出してみます。

年齢1割以上 増加1割以上 減少
40〜44歳33.2%21.2%
45〜49歳29.1%16.5%
50〜54歳26.3%21.0%
55〜59歳17.3%30.7%
60〜64歳7.9%53.9%

40代はどちらの階級でも、大きく増えた人のほうが大きく減った人より多いことが分かります。


逆転するのは55歳です

このデータでいちばん目を引くのは、45〜49歳ではなく、55〜59歳の行でした。

増えた人が27.4%、減った人が36.6%。ここで初めて、減った人のほうが多くなります。

そして60〜64歳になると、減った人が60.9%。1割以上減った人だけで53.9%です。転職した人の半分以上が、前より1割以上低い賃金になっています。

つまり、こういう形をしています。

40代前半から50代前半までは、動けば上がる可能性のほうが高い。55歳から先は、動けば下がる可能性のほうが高くなる。

この線がどこに引かれているかは、40代の人にとってかなり重要な情報だと思います。

60〜64歳の数字には、定年が入っています

ひとつ補足しておきます。60〜64歳で賃金が大きく下がっているのは、転職が難しいからというより、定年後の再雇用や再就職がこの数字に入っているからです。

同じ調査で、転職した人が前の職場を辞めた理由を見ると、男性では「その他の個人的理由」を除くと「定年・契約期間の満了」が14.1%で最も多くなっています。

自分の意思で動いた転職と、区切りが来て動いた転職が、同じ欄に入っています。ここは分けて読む必要があります。

一方、55〜59歳はまだ定年前です。それでも逆転が起きているので、こちらは年齢そのものの影響とみたほうが自然だと思います。


そもそも、40代で転職している人はどれくらいいるのか

オフィスの入口から鞄を持った男性社員が入ってきて、眼鏡をかけた管理職がその方を向いて迎えているイラスト

賃金の前に、母数の話もしておきます。

同じ調査で、1年間に転職して入職した人の割合(転職入職率)を年齢階級別に見ると、こうなります。

年齢男性女性
40〜44歳6.8%10.2%
45〜49歳6.0%10.7%
50〜54歳5.1%8.2%
55〜59歳5.4%7.6%

男性で6%前後、女性で8〜10%です。

100人の職場なら、1年で6人ほどが転職して入ってきている計算になります。多いと感じるか少ないと感じるかは人によると思いますが、5年で見れば3割近くが動いている規模です。

40代の転職は例外的な出来事ではありません。私が管理職として中途の受け入れをしていたときも、40代の入社は珍しくありませんでした。むしろ、部署に足りない機能を埋めるための採用は、たいてい40代以上に声がかかります。

もうひとつ、この表で目立つのは男女差です。40代・50代のどの階級でも、女性のほうが男性より高くなっています。


数字が良いのに、なぜ「40代の転職は厳しい」と言われるのか

ここまで見ると、40代の転職はむしろ悪くない条件に見えます。それなのに「40代の転職は厳しい」という話が消えないのはなぜか。

採用する側にいた経験から言うと、理由は3つあると思っています。

1. 決まるまでの時間が、若い人と比べて長い

40代の求人は数が少ないのではなく、合う求人が少ないのだと思います。

20代の採用は「伸びそうな人」を採るので、枠が広く取れます。40代の採用は「この穴を埋める人」を採るので、穴の形と合わないと通りません。合う穴が空くまで待つことになるので、期間が延びます。

期間が延びると、本人の実感としては「厳しい」になります。ただ、決まったあとの条件は悪くない。この2つが混ざって語られていると感じます。

2. 動いた人の話しか、表に出てこない

うまくいかなかった人は、あまり話しません。うまくいった人も、実は自慢に聞こえるので詳しくは話しません。

結果として周りに残るのは、「大変だったらしい」という伝聞だけです。私自身、転職を4回していますが、どの回も細かい経緯を職場で話したことはありません。

データを見に行かないと、この偏りは埋まらないと思います。

3. 賃金が上がった人は、たいてい準備してから動いている

机に向かった管理職が、行が詰まった書類と行の少ない書類を見比べ、行の少ないほうに手を伸ばしかけているイラスト

これがいちばん大きいと思います。

先ほどの表で「増加46.4%」という数字を見ると、動けば半分の確率で上がるように読めます。ただ、実際に上がった人の多くは、動く前に自分の職務経歴を整理し終えています。

面接で聞かれるのは、何をやってきたかではなく、それが次の職場で何に使えるかです。ここを言葉にできている人と、できていない人で、提示される条件がはっきり分かれます。

書類を見る側にいたときの話をします。40代の職務経歴書には、たいてい十分な量の実績が書かれています。困るのは量ではなく、それが自分の部署の何に効くのかが読み取れないときでした。

たとえば「部門の統括を担当」とだけ書かれていると、何人を、どの範囲で、何を判断して動かしていたのかが分かりません。分からないものは評価のしようがないので、面接では確かめる質問から始まります。持ち時間の半分が確認で終わると、その先の話をする余裕がなくなります。

逆に、規模と範囲と判断が書いてある職務経歴書は、最初から「うちで何を任せるか」の話ができます。同じ経歴でも、ここで進み方がまったく違いました。

同じ40代でも、この準備の有無で結果が変わる。データはその平均を映しているだけで、個人の結果は準備の量に寄ります。


40代でこのデータをどう使うか

数字を見たあとに何をするか、という話を最後に書きます。

まず、自分がどの行にいるかを確認する。

45〜49歳なら、いま動くと上がる側に入る可能性が高い階級です。逆に55歳が近いなら、条件面での有利さは薄れていきます。動くかどうかを決めるより先に、自分がどの行にいて、逆転の線まであと何年あるかを見ておいたほうがいいと思います。

次に、いまの自分の市場での位置を知る。

これは求人票を見るのがいちばん早いです。応募しなくても構いません。自分と同じような経歴の人が、どういう条件で募集されているか。それが分かるだけで、社内の評価と市場の評価のずれが見えます。

見るときは、待遇の欄より先に仕事内容の欄を読んだほうがいいと思います。待遇は自分の現在地と比べるための数字ですが、仕事内容は「この経歴が要るとされている場所」を教えてくれます。自分の経歴が名指しで書かれている求人が見つかれば、その時点で位置はだいたい分かります。

最後に、動くかどうかは、そのあとで決める。

順番として、決めてから調べるのではなく、調べてから決めるほうが失敗が少ないと思います。私は最初の転職のとき、この順番が逆でした。辞めると決めてから探し始めたので、選ぶ側ではなく、決まった先に行く側になっていました。

調べてから決める場合、調べた結果として「動かない」を選ぶこともできます。この選択肢が残っているかどうかが、条件の交渉力にそのまま出ます。


まとめ

厚生労働省の令和6年雇用動向調査から分かったことを、もう一度まとめます。

  • 40代で転職した人は、賃金が増えた人のほうが減った人より多い(45〜49歳で増加46.4%・減少23.8%)
  • 50代前半まではその傾向が続く(50〜54歳で増加39.0%・減少28.2%)
  • 55〜59歳で逆転する(増加27.4%・減少36.6%)
  • 60〜64歳では減少が60.9%。ただしここには定年後の再雇用が入っている
  • 転職入職率は40代で男性6%前後・女性10%前後。珍しいことではない

「40代の転職は下がる」という通説は、少なくとも全体の数字とは合っていません。ただし、上がるかどうかは年齢ではなく準備で決まるということも、同じデータから読めます。

自分がいまどの位置にいるのかを確かめるところから始めるのが、いちばん確実だと思います。

自分がいまどの位置にいるのか、8つの質問で確かめられます。

40代・50代のためのキャリア診断


関連記事

-40代・50代の転職